石川県箔商工業協同組合 理事長
作田 一則
「四百年の歴史を持つ金沢の金箔」
金沢という街の顔は、歴史と文化だとよく言われます。加えて加賀藩の文化重視政策の伝統を受け継ぎ、今なお、伝統文化、ものづくりの精神が市民生活に息づいており、その中のひとつである「金沢箔」は、職人の技と心が今に受け継がれ、国指定の伝統工芸品として位置づけられています。現在、金箔は国内生産量の約99%が金沢で生産されているという際だった特色を放ち、金沢を代表する産業の一つとなっています。
また、金箔は、建築、美術、工芸をはじめとする様々な分野の装飾素材となっており、これまでに金閣寺・中尊寺および日光東照宮などの神社仏閣の修復に大きな役割を担ってきています。しかし、経済のグローバル化や地域経済の浮き沈み、ライフスタイルの変化の影響を受け、今は厳しい状況下にありますが、この厳しい状況を克服するためにも、時代にあった新しい需要の創出、新しい商品の開発という大きな課題に取り組む必要があります。また、品質の良い金沢箔を作り出す技術の継承で、後継者の育成にも力を注ぎ業界の発展振興に貢献することが大切であります。
幸いにも、2015年に開業した北陸新幹線効果が現在も持続しており、2020年の東京オリンピック開催、国立近代美術館工芸館の金沢移転、縁付金箔製造がユネスコ世界遺産に登録され、これらを大きな好機ととらえ、金沢箔のブランド・魅力を、さらに国内外に発信してまいりたいと思っております。
2022年5月